当院では、地域の医療機関と互いに理解を深め、より良い連携のために交流の機会を設けています。
今回、徳島赤十字病院の職員の方々をお迎えして地域交流会を開催しました。
交流会の前半では、当院の概要や回復期リハビリテーション病棟の特徴などについてご紹介しました。
ここでは、「食べる・排泄する」に焦点をあてて取り上げます。
食べる力を支えるー気管切開依存ゼロに向けた取り組み
回復期リハビリテーション病棟では、多職種が連携し、患者さんが在宅復帰に向けて生活に必要な機能を再獲得できるよう支援しています。
「口から食べる」支援では、入院時に気管切開や各種チューブを必要としていた患者さんに対して、退院に向けて可能な限り抜去を目指す医療ケアを行っています。直近6カ月では、対象となった患者さん全例が退院までに気管切開を外すことができました。
これは、医師の的確な判断を基盤に、言語聴覚士による呼吸・嚥下リハビリ、看護師・特定看護師によるカニューレ管理が一体となって実現したものです。
厚労省にも評価された最後まで口から食べるを諦めない取り組み
入院時に経管栄養で栄養管理を行っていた患者さんに対しても、早期から嚥下内視鏡(VE)や嚥下造影(VF)を用いた評価を行い、段階的に訓練を重ねています。その結果、70.7%の患者さんが口からの摂取へ移行しており、全国平均(61.2%)を上回る成果を挙げています(出典:全国リハビリテーション病院協会調査)。
この実績を支えているのは、専門性を備えた多職種による連携体制です。言語聴覚士(日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士含)、摂食嚥下障害看護認定看護師の配置に加え、管理栄養士による「ミールラウンド」など、専門性を備えた多職種体制があります。さらに、365日異なる献立を提供し、栄養面だけでなく食事への意欲や楽しみを支える工夫をしています。
このような取り組みはグループ全体としても注目され、国際会議N4Gパリ・サミットにおいて厚生労働省より『誰一人取り残さない日本の栄養政策』の事例として紹介されました。
自立排泄へのアプローチ
「自分の意志でトイレに行き、排泄できる」ことは自立した日常生活に欠かせない要素です。当院では、尿道カテーテル抜去からマイパンツ移行までを段階的にサポートし、チーム医療で排泄自立をめざしています。
入院時の評価をカンファレンスで共有し、定時排泄誘導や残尿測定を行いながら経過を観察。膀胱直腸障害のタイプに応じたプログラムを実施しています。その結果、リハビリパンツからマイパンツへ移行できた患者さんは20%にのぼっています。
回復期リハビリテーション病棟では、総勢100名の多職種が連携。質の高い個別ケアを実践しています。
ブレイクタイム
当院菓子工房特製のケーキとコーヒーをを囲み、リラックスした雰囲気の中で交流が広がりました。
リハビリ最新機器の体験
後半は、当院で実際に使用している最新のリハビリ機器を体験いただき、その有効性を実感していただきました。
- Phisybo
- OriHime
- IVES Pro
- BMI(Brain Machine Interface)
- 嚥下訓練機器
- 会場の様子
Phisybo:股関節の動きを検知し、モーターで足の「振り出し」「蹴り出し」をサポートする歩行アシスト機器
OriHime eye + Switch:視線を使ってパソコン入力などができる意思伝達装置
BMI(Brain Machine Interface):「動かしたい」という脳の信号を読み取り、手足の動きをサポートする
IVES Pro:脳の信号と実際の動きのずれを補い、麻痺した筋肉の再学習や力加減の練習を助ける
嚥下訓練機器:飲み込みに必要な筋肉や神経を刺激し嚥下機能を改善する(各種機器あり)
意見交換とこれから
体験後の意見交換では、「紹介後の経過はどうなっているか」「重度から軽度まで幅広く受け入れ可能で信頼感がある」「連携をどう進めるか」など、率直に語り合い、理解を深める場となりました。
ご参加くださいました徳島赤十字病院の職員の皆様、貴重なお時間をありがとうございました。
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