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院長コラム

医療崩壊を防ぐために

新型コロナウイルス感染は拡大し、11都府県に緊急事態宣言が発出され日本経済にも大きな影響を与え、延長していた東京オリンピックの開催も危ぶまれています。コロナ感染対策の難しさは無症状の感染者でも感染源となりうることで、このことが感染終息を困難にしています。感染患者数の増大に伴い重症者も増加し急性期病院の病床不足が現れ、医療提供体制は逼迫し入院できない自宅待機症例の死亡例もでてきています。

このような医療環境においてコロナに限らず一般の救急患者の受け入れも困難となり大きな社会問題になっています。今は患者受け入れに対する急性期医療の問題が提起されていますが、治療後のことが考慮されていないように思います。急性期治療が終了すれば早く慢性期施設に転院し、リハビリを含めた適切な医療を提供することにより在宅復帰を促進させねばなりません。高齢者は重症化しやすいことが知られていますが、重症化により入院期間も長期になります。高齢者においては外出を控え社会とのつながりが希薄になることが長期に及べば些細なストレスが生活機能の低下に繋がりフレイルの進行が危惧されます。筋力は膝関節を2週間固定すると高齢者で23%低下するとの報告もあります。

また、東北震災の仮設住宅の利用者についての検討では認知機能は外出が少ないと外出している人に比べて低下しやすいことも報告されています。入院が延長すればコロナは治癒しても離床が難しくなり日常の生活に戻るまでに予想以上の長い時間が必要です。対応を間違えばコロナ感染により寝たきり老人を増やす結果になりそうです。

このような視点で高齢者のコロナ感染者の診療にあたらなければなりません。病床が不足し医療崩壊の危機に直面しておりますが、この状況を乗り切るには、発生患者の抑制と、コロナの治癒した患者を急性期病院から他施設に転院させ空床をつくることです。もともと慢性期病院は急性期病院から多くの患者を受け入れ適切な医療を提供し在宅復帰させてきた、多くの実績をもっております。慢性期病院が多くのポストコロナを受け入れることで現在の状況を打破できるのではないかと思います。今回のコロナの問題は病院の役割分担を明確にしたように思います。

博愛記念病院は理事長の方針のもとポストコロナ患者を急性期病院から積極的に受け入れることで地域の医療に大きく貢献しております。いずれにしても、一日も早くコロナ感染が終息されることを願っています。


厚生労働省

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