9月16日、人形浄瑠璃「あわ工芸座」をお招きし、敬老会を開催しました。演目は『傾城阿波の鳴門』と『三番叟』の二つ。地元の伝統芸能を間近に鑑賞いただける機会となりました。
敬老の日に合わせて、普段なら劇場などに足を運ばないと見る機会が少ない伝統芸能・文化の舞台を間近にご覧いただこうと、早々から計画を進めてきたもので、前日のクラシックコンサートに続き2日目の開催です。
公演に先立ち、阿波十郎兵衛屋敷をプライベートで訪れて事前リサーチをしたという職員から、あらすじや見どころを分かりやすく解説。さらに、あわ工芸座の方々からも公演内容について簡単な案内があり、期待が高まります。
傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段
最初の上演は『傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段』
徳島に伝わるこの物語は、親子の情愛を描いた浄瑠璃の名作で、地元の利用者さんにとっては親しみのある演目です。母・お弓が、巡礼者として訪ねてきたお鶴が愛しい娘だと気づき、名乗りたい気持ちを必死に抑えながら泣く泣く送り出す場面に差し掛かると、利用者の皆さんは自然と体を舞台に近づけ、ひとつひとつの所作を見逃すまいと真剣に見入っていました。
三番叟
次に演じられた『三番叟(さんばそう)』は、能楽「式三番」を起源とする祝福の舞で、五穀豊穣や長寿を祈る意味が込められています。舞が終わると、健康や幸せを願って、観客一人ひとりの頭上で鈴を振り、福を授けてくださいました。
上演後の質問タイムでは、「どこから来ているのですか?」「どのように練習しているのですか?」「人形の衣装は?」といった質問が飛び交いました。衣装については、「本場・大阪の文楽の伝統と流儀を継承し、先代座長がこしらえたもの」、「徳島では、農村舞台で演じられることが多く、観客との距離が遠かったために人形の首(かしら)が比較的大きめになったといわれている」などの説明があり、参加者は驚きとともに深い感銘を受けていました。
公演の最後には、利用者代表によるお礼の手紙の披露と贈呈が行われました。
「久しぶりに人形浄瑠璃のすばらしい舞台を見られた」「デイケアでこのようなステージが見られるなんて、思わなかった。うれしい」「よかった」などの声を利用者さんからいただきました。
カフェタイム
公演後には、博愛記念病院の菓子工房で真心を込めて作ったシャイマスカットショートケーキと紅茶をご用意しました。敬老の日のお祝いとして、旬のシャインマスカットに金箔があしらわれています。
参加された皆さまには心ばかりのプレゼントをお渡しし、敬老会はお開きとなりました。
地域に根づく芸能・文化の力を通じて、敬老の日が利用者さんにとってより意義深いものになりましたら幸いです。
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