WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく自立した生活ができる期間をしめします。WHOはこの健康寿命という新しい寿命の概念を取り入れました。以前より用いられていた寿命の指標である平均寿命はいわゆる「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間を含むため、生涯の健康な時期とに大きな開きがあることが指摘されていました。
平均寿命と健康寿命との差が大きくなると医療費や介護費などの社会保障負担も大きくなります。我が国の平均寿命と県境寿命の差は、2016年で男性約9年、女性約12年と欧米各国と比べても長いことが知られています。私たちは人間の寿命が尽きる寸前まで元気で過ごせることを願っています。そのためにも要介護状態を招く原因を知り、元気なうちからあらかじめリスクを防いでいくことが健康寿命を延ばす効果的な方法です。
2019年国民生活基礎調査によると、65歳以上の要介護者等の介護が必要となった主な原因は、運動器の障害(ロコモティブシンドローム)例えば骨折、転倒、関節疾患が最も多く、次いで認知症、脳血管障害、高齢による衰弱が50%以上を占めています。運動器の障害は重大な症状です。私たちの身体の骨密度や筋肉量は30歳代をピークに衰えはじめどんどん低下します。そのため運動機能が衰え立つ、歩くなどの日常生活に支障をきたし進行すると要介護状態や寝たきり状態になります。筋力の低下を来さないように努める必要があります。私自身も年齢をとり最近筋力低下に気付き、理学療法士さんから指導をうけています。それまで、歩くのが一番と考えていましたが、理論に基づいて運動することが重要であることを教えていただきました。
博愛記念病院もロコモティブシンドロームにならないように運動器リハビリに力をそそいでいるところです。自宅で生活ができている人が障害にならないようにデイケアの参加者さんに対して積極的にリハビリを行っております。リハビリは一人ではなかなか取り組めないのが現状ですが、専門の理学療法士から指導してもらうことで無駄なく能力をあげることができると思っております。自立した生活を送るためにも運動器障害に至らないように予防していくことが大切です。早めに筋力アップに取り込み健康寿命を延ばし平均寿命との差を減らしていきましょう。